共生(ともいき)日本(にっぽん)ゲートウェイ成田プロジェクトについての近況報告
- 2023年5月19日
令和5年5月19日
共生バンクグループ
昨今の我が国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大が繰り返される中、行動制限の解除や全国旅行支援などにより人流が回復し、ホテル、外食などサービス業を中心に改善傾向がみられるなど、各種制限が段階的に緩和され、社会的な経済活動は正常化に向けた動きが観られます。
一方で、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻に起因するエネルギー資源、食料の世界的な価格上昇、建設資材の価格高騰など、インフレ圧力の高まりや急激な為替変動があり、ドル・円相場は、米国長期金利の上昇に伴い一時151円台まで円安が進みました。
その後は日本政府の為替介入等によりドル・円相場は130円台で推移しておりますが、軍事侵攻が長期化する中で、円安の相場は継続する見込みとなっております。
一方、成田空港における2021年貿易額は海港を含め日本一となり、コロナ過においても貨物取扱量は過去最高を記録し増進しています。これは、観光やビジネス等の旅客数が減る中で食品などの航空貨物量が安定して伸びていることが顕著に示したデータと言えます。
この様な経済環境の中で、我が国の企業が外需を獲得する戦略的拠点として開発途中の
「共生日本ゲートウェイ成田」プロジェクト(以下「共生日本ゲートウェイ成田PJ」といいます)は、円安を好機にフォローの風が吹く状況となっておりますが、この経済環境を積極的に捉え、より発展的に事業を推進しようと計画し、新たに新規計画地(約50万㎡、東京ドーム10個分相当)の確保を予定しております。
これまでの事業計画は第一期事業計画とし、新たに第二期事業計画を加えて開発を行う方針となり、準備して参りましたので、以下の通りその内容を報告致します。
尚、第二期計画地については、用地の確保を行っているものの、事業主体については未定となっております。
記
一. 国や県、地域や企業等、誰もが今参加したくなる開発計画を目指して
共生日本ゲートウェイ成田PJは、成田国際空港に隣接する類を見ない好立地条件に恵まれた大規模な開発事業で、現在造成工事中の敷地(45.6万㎡)は、これまで、インバウンド客をメインターゲットとした観光産業拠点として開発を進めて参りました。
また、その開発コンセプトは、外需獲得に挑む拠点として、今後の日本経済を支える新産業集積地の創設、さらには、ビジネスイノベーションを起こす街として、内閣府が提唱する新しい日本の社会「Society5.0」を実現し、新しい日本を拓いてゆく目的での開発内容を掲げてまいりました。
具体的には、大規模ショッピングモールやホテルなどを通してインバウンド客を誘客し、観光拠点およびMICE施設(大規模展示場等)の整備により、日本に400万社ある中小企業の研究開発やビジネス交流拠点としての開発を目指しておりました。
しかし、昨今のコロナ禍による経済の停滞、及びウクライナ紛争下における不安定な経済環境に鑑み、現在開発計画の変更を試みております。
これまで企画した開発計画コンセプトは、第二期事業計画地(事業主体は未定)において(既に用地確保に着手済み)実現を目指し、引き続き計画を推進いたします。
そして、現在造成工事中の敷地は第一期事業計画地として、共生日本ゲートウェイ成田PJの基本コンセプトである、外需獲得に挑む拠点、を承継するものの、その分野を食料品に絞り込んで、世界に開かれた六次産業化(六次産業のグローバル化)拠点としての開発を進めて参ります。(「6次産業化」については※¹をご参照下さい。)
6次産業化は、2010年に農水省が掲げ、2020年には10兆円産業に成長させるとして推進されたものですが、残念ながら目標達成に乏しく、その原因はグローバルマーケットに向けた戦略が無かったことが一因かと推測されます。
国内における食品マーケットは10年以上に亘って30兆円規模で安定していますが、海外企業と比較すると国内企業の利益率は大幅に低いのが現状です。そのため、国内企業はターゲットをグローバルマーケットに切り替える戦略を取り始めております。
それらの動きも踏まえ、成田国際空港に隣接する第一期事業計画地では、日本発世界6次産業化拠点を創設し、食品産業の発展と社会貢献を目指すプロジェクトの実現を目指します。
また、これらの取り組みは、農水省が目指す 2030年5兆円輸出の実現に寄与するとともに、国交省が目指すASEANの物流サービスの推進(日本独自のコールドチェーンによる物流サービス網を確立し世界展開を目指す)にも貢献していくものとして、計画を進めております。(「コールドチェーン」については※³をご参照下さい。)
二. 第一期事業計画について「ULTRACOLD FOOD VALLEY (仮称)」
第一期事業計画では、イノベーティブな冷凍・冷蔵技術及び、技術革新によるコールドチェーン網整備をもって、オランダの成功事例(「オランダの成功事例」については※²をご参照下さい。)をベンチマークとする「日本版フードバレー」を計画しております。
2013年12月4日、和食は「和食;日本人の伝統的な食文化」として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。本計画では、世界で認知度が高まる和食文化をさらにブランド化し、食品(料理)の研究開発と生産、そしてその流通拠点として開発を計画しております。また、イノベーティブな冷凍・冷蔵技術及び、技術革新によるコールド物流チェーン網整備による食品を“ULTRA COLD”(仮称)とブランド化し、そのブランド認知度を高めるためにも、一部に集客施設(にぎわい拠点)の開発を計画しております。(「ULTRA COLD」については※³をご参照ください。)
具体的な施設内容としては、集客施設として、和食文化を楽しむフードホールスタジアム、食品工場の見学を楽しむファクトリーゾーン、研究施設として、食品研究を行う企業が集まり、産学連携のもと定量的な分析と官能調査の研究を行うR&D施設、などを整備する計画です。
今後はさらに施設の付加価値を高めるために、世界中に和食の魅力をリアルタイムに伝えるチャンネルの開発や、施設内において栄養価が高く、官能評価の高い、野菜や果物の水耕栽培を行う植物工場等の開発も構想しております。また、和食文化を楽しんでもらうためのフードフェスティバル開催や、イノベーティブは冷凍技術を身近に感じるためのレジャーエリアの整備も検討しております。
また施設は総合保税地域に指定されることを目指しております。
これにより、外国貨物の搬入・保管・荷捌き・流通加工・通関等の流通コスト削減が可能となれば、施設内で食品加工ビジネスを行うメリットが大きくなると考えております。
三. 今後のスケジュールについて
上述の方針に従い、第一期計画である現在造成工事中の敷地については、計画の見直しと変更手続きを行っており、現在のところ以下の目標スケジュールで進行しております。
計画の変更手続き;~本年度末(2024年3月末を目指しております。)
造成工事;~2024年11月末完成予定(変更手続きに伴い本年6月末で工事を一旦休止して準備に入り2024年4月に工事再開予定)
建築工事;2024年12月~2026年12月を予定
開業;2026年度末を予定
尚、第二期事業計画については、2029年度末を開業目標として、準備を進めております。
四. 共生日本ゲートウェイ成田PJの今後の進捗内容のタイムリーな報告について
今後の進捗内容については、当該HPを通じてタイムリーに適時開示に努める所存ですので、引き続きのご支援とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
※¹ 「6次産業化」とは、農林漁業者(1次産業)が、農産物などの生産物の元々持っている価値をさらに高め、それにより、農林漁業者の所得(収入)を向上していくことです。
生産物の価値を上げるため、農林漁業者が、農畜産物・水産物の生産だけでなく、食品加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)にも取り組み、それによって農林水産業を活性化させ、農山漁村の経済を豊かにしていこうとするものです。
「6次産業」という言葉の6は、農林漁業本来の1次産業だけでなく、2次産業(工業・製造業)・3次産業(販売業・サービス業)を取り込むことから、「1次産業の1」×「2次産業の2」×「3次産業の3」のかけ算の6を意味しています。
言葉の由来は、東京大学名誉教授の今村 奈良臣(いまむら ならおみ)先生が提唱した造語と言われています。(農水省HPより)
※² オランダ FOODVALLEYの概要
オランダの農業および食産業を支える背景にあるフードバレーと呼ばれる食の科学とビジネスに関する一大集積拠点。顧客志向で商品やサービスを創造する世界規模の食品研究開発拠点となっており、革新的な技術やソリューションが開発されている。
フードバレー地域には、約15000人の科学者、1400を超える食品 関連企業、70の科学企業、20の研究所が集積。
オランダの食料品輸出額は、1997年のフードバレー集積化以来、輸出額が大幅に伸び、2021年には16兆円を超えた。現在は、米国に次ぐ世界第2位の輸出国となっている。
人口/陸地面積が日本より少ないにも拘わらず、輸出額が日本の10倍以上の16兆円規模。
FOODVALLEYでは、6次加工品の開発も行われ、チーズ(輸出額5400億円)や乳幼児食品(輸出額4000億円)の開発に成功し、オランダの食品輸出額を牽引している。
日本は1.26兆円(2021年) 世界順位40位。2022年には1.4兆円超を達成している。
※³ ULTRA COLD(仮称)とは、現在、共生バンクグループが推進しているイノベーティブ冷凍・凍結技術(国内外で物質特許含め周辺特許取得済み)を指します。この新技術を中心に、今後も様々な凍結手法を開発し、グローバルマーケットを牽引する「冷凍・凍結技術コンソーシアム」を組成する計画です。
新技術による食品の冷凍・凍結は、フードロスの削減に役立つとともに、凍結時の省エネルギーを実現することが報告されています。
また、冷凍トラックなどの整備が不足している国々で、ドライトラックにこの新技術を搭載することで、コールドチェーン構築が可能であることが実証実験データより報告されています。
以上